技術哲学とはなにか? 3.技術哲学とは、テクノロジーを最もよく理解するための哲学
前回までで、日本語で技術哲学についての情報をえることは現状むつかしいということがわかりましたので、このサイトで、徐々に、なるべくわかりやすく、海外で盛んに研究されているテクノロジーの哲学である技術哲学について、紹介していきたいと思います。
まず、技術哲学とはなにか?ですが、いくつかの技術哲学テキストから紹介します。まずは、ベルギーの若手技術哲学者Coeckelbergh(コイッケルバーグとおそらく発音するので以下コイッケルバーグ)の昨年末に出た大学講義用の技術哲学テキスト「Introducation to Philosophy of Technology」から、一文を抜き出しました。これです。
技術哲学とは?
Philosophy of technology is a disciplined and systematic attempt to think through these kinds of issues, including the question of how we can best understand technology and the challenge to evaluate new technological developments.[Coeckelbergh, 2019 p5]
技術哲学は、技術をどのようにして最もよく理解することができるのかという問題や、新しい技術開発を評価するという課題を、熟慮し体系的に検討する試みである。)
まとめると、
「技術哲学とは、テクノロジーであり技術を最もよく理解するための哲学」でっす。
わかりやすい。テクノロジーってなに?を最も考えている分野であり、技術哲学者は、もっともテクノロジーについて考えている研究者たちというわけですな。
何のために考えるのか、上記の文は次のように続きます。
It is an academic discipline, but it can also take the form of a public philosophy, or it can take interdisciplinary and transdisciplinary routes. Perhaps it has to, if it aims to have impact on the issues it talks about.[Coeckelbergh, 2019 p5]
(一つの学問分野であるが、公共哲学の形や学際的なルートをとることもでき、話題とするテーマについてインパクトを与えようとするならそのような方法をとる必要があるだろう。)
新しい技術の評価や社会的実装を考え、技術倫理へと接続される哲学だということが見えてきます。このことから、「技術哲学は、技術と人、社会の関係性を考察する哲学」ということも見えてきます。
今の時代、あらゆる物事が、テクノロジーを通して(媒介して)行われていますので、技術哲学的な思考が求められているのは間違いないかと思います。とくにコロナでバーチャル化が加速しています。しかし、なぜか、日本では広まっていない(その理由解説も追って)。勝手に使命感を感じておりますw。次は、技術哲学史の補足です。